Tricksters2ッ
じゅんちゃん誘拐事件
────その日は酒のせいもあって、倒れるように寝た。
朝起きてウダウダしながら、李花がいれば朝食が出てくるのにな……とため息つきながら、空腹のまま部屋を出た。
「両手を頭の上で組め」
「はいっ?」
背中に冷たい鉛の感触。
「抵抗すれば、うつぞ。痛い思いをしたくなければ、いうことを聞け」
機械的な男たちの声。
「はやく頭の上で、腕を組め!」
「うわっ、イてぇ! わかった。わかったから」
鉛が背中に食い込み、思わず両手を頭の上で組む。
李花の家に謝りに行こうと思ってマンションの駐車場で変な奴らに捕まった。
ってか、このやり取り二回目だ。
あれは、ゼンの車を駐車場に停めた直後だった。手を組むと、薬品を染み込ませたハンカチみたいのを嗅がされて……
って、今も俺の目の前に真っ白なハンカチが迫っていた。
「っ、同じ手? 二度も引っかかるか!」