やっぱり、好きだ。
玉ねぎに涙
-----------金曜日のある朝。
自転車通勤のはずの私は、両肘にビニール袋をぶら下げ、両手でダンボールを持ってバス停に立っていた。
荷物の内訳:ALL玉ねぎ。
長崎で野菜を作っている叔父さんが、規格外で出荷出来なかった分を大量に送ってくれたのだ。
・・・が、一人暮らしの私が全てを消費するのは難しい為、先生方に貰って頂こうと考えたのだ。
しかし、玉ねぎの重みで肘にはビニールが、指にはダンボールがめり込んで痛い。
・・・持ってきすぎたかな。
若干の後悔をしていると、
「うわ!!」
突然、後から誰かが私の腕を引っ張った。
「何その荷物。学校持ってくの??」
バランスを崩しかけた私を、青山くんが支える様に、私の腰に手を添えた。
「あ、おはようございます。叔父が送ってくれた玉ねぎなんですけど、一人じゃ食べ切れなくて、先生方におすそ分けしようかと・・・」
すぐさま体勢を整え、密着してしまった身体を離す。青山くんは昔から、背中摩ってみたり、頭撫でてみたり、とにかくボディータッチが多い。適度な距離を取って置かないと、思い違いしてまた良からぬ癖が出かねない。私はもう絶対にストーカーにはならない。なりたくない。
「・・・へぇー。あ、順番どうぞ」
青山くんは、私がすぐさま後ずさった事が癇に障ったのか、少し顔を歪めると、私たちの後ろに並んでいた人に順番を譲り、私を列から外した。