やっぱり、好きだ。
「そうでした」
お礼として誰かに渡したものは、プレゼント感覚がない為、自分で購入したことを忘れがちだ。にしても、忘れるのが早すぎる。今日の、というかさっきの出来事なのに。歳を取るってこういう事なのだのだろう。
『あはは』と誤魔化す様に笑うと、『サヤ子らしいな』と青山くんも一緒に笑ってくれた。
こんな風に笑ってもらえるのが嬉しい。
「みんな待ってると思うので、もう行って下さい。楽しんできて下さいね。今日は、本当にありがとうございました」
青山くんにぺこっと頭を下げると、
「こちらこそ。気をつけてな」
青山くんも私の真似をして頭を下げると、私に手を振って歩き出した。
そんな青山くんにもう一度お辞儀して、この後に予定など入っていない私は、また自転車を勢いよく漕ぎながらアパートへ帰った。