甘いヒミツは恋の罠
Secret 3 木田宝飾の貴公子
 瑞穂から誘われた合コンに安易に返事をしてしまったことを、今更ながらに紅美は後悔していた。


 あの時は意気込んでイケメン彼氏を捕まえようと乗り気だったが、いざ当日になると尻込みしてしまうのだ。


(ドタキャン……なんて最低だもんね)


 一瞬、急な仕事が入ったから行けなくなったと電話してしまおうかと考えたが、それは紅美の性格上できなかった。


 仕事が終わり、紅美はひとり化粧室でそれなりに身なりを整えていた。


 スカーフを巻き、メイクもし直してピアスも変える。けれど、ルビーのネックレスはそのままつけていくことにした。


 ルビーちゃん――。


 その時、朝比奈の声が聞こえたような気がして紅美はあたりを見回した。


(気のせいか……)
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