イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
番外編(桃華side)ー甘い夜
 きゃー、カニですよ、カニ。

 私のテーブルの前に並べられた黄色いタグ付の越前ガニ、他にも甘エビやブリのお造り、それに大根おろしの入った越前そばにゴマ豆腐。

日本海の海の幸、山の幸バンザーイ!

「桃華、目がすっごく輝いてるよ」

 ひとりニマニマしていたら、目の前の無駄にフェロモンたれ流している瑠海がそんな私を見て楽しげに笑った。

 あえて彼を見ないようにしているのだけど、なんでそんなに浴衣が似合うの?

 東尋坊で再会した私達は、そこから車に乗って今夜の宿まで移動。

 それからすぐに温泉で温まって浴衣に着替えたのはいいけど、浴衣と言えば女の子のスペシャルアイテムじゃない。

 でも、目の前のこの男は色気がありすぎて目の毒です。

 いっその事、宇宙服でも着ててくれませんか?

 しかも、この部屋、イブで空きがなかったとかいって八畳のこじんまりした部屋しかなかったみたいなんだけど……。
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