スーツを着た悪魔【完結】
いくらあの人が最低男だとしても、私の忘れ物を発見して連絡してくれたのは本当のことだ。今の態度はなかった……。
「謝ります。拾ってくださったのに失礼な態度を取りました。ごめんなさい」
しゅん、となり頭をさげるまゆ。基本素直でまっすぐなのだ。
『まぁ、いい』
謝ったまゆの声を聞いて納得したのか、深青は気を取り直したように提案してくる。
『で、今から出てこれるか?』
「はい、どこにいったらいいですか?」
『俺の事務所のすぐ側に、カフェがあるからそこで』
「事務所の住所を教えてください」
『ああ。今から言うから』
そして深青は、最近新しく始めた事業の――
そのために借りたビルの住所を告げる。
まゆは手帳を広げ、慌ててそれを書きつけた。