ありのまま、愛すること。

天国の母に会うために

中学校は地元の公立に進みました。

その中学生時代は、すべてがクリスチャンとしての活動に尽きます。

私をキリスト教に結びつけたのは、近所に住む大学生。

彼はとても優しい人で、私が小学校低学年のころからいっしょに遊んでくれていました。

その彼があるとき急にいなくなり、私はてっきり引っ越したものだと考えていたのですが、小学6年生の終わりごろに、ふらっと現れたのです。

そしてこう言いました。

「近所で小耳にはさんだんだけど、お母さん、亡くなったんだって?」

彼は私を慰めてくれて、そこで昔の懐かしい話にも花が咲きます。

しばらくそうしていると、彼はこう言います。


「お母さんに会いたくない?」


私は、何を言っているんだろうこの人は、といぶかしがった。

実際、そういう表情をしていたのでしょう─私を見て彼はつづけます。

「いや、僕がずっといなかったのを知っているでしょう」

「うん、知ってるよ」

「実は、僕はキリスト教の宣教師で、ずっと聖書の布教をしていたんだ」

彼はそのとき、体調を崩して、一時実家に戻ってきていたのだそうです。

そして、次の一言に私は驚きました。

「僕が布教しているクリスチャンの教えは、亡くなった人に会えるというものなんだ、だから美樹もお母さんに会えるんだよ」
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