あなたを愛する者
5. 甘いコーヒー
ホームルームを残すだけとなった午後の教室は、相変わらずの騒がしさだ。
この後、部活に行くための準備をする生徒。
お菓子を食べながら、恋話で盛り上がる生徒、様々だ。
ガラッ
担任の井関が入って来た。
「ほら、席着けー
ちょっと遅くなってしまったが、この時間を借りて、英語のテストを返す。
点数悪かった者は、夏休み補習を受けてもらうからな」
「えーーー」
みんなからのブーイング。
「な。缶握り締めてる、杏」
私は例のアールグレイを握り締めていた。
みんなが私の方を一斉に振り返る。
「アハハハハ」
みんなからの笑い声。