さよなら御伽話(メルヘン)またきて現実(リアル)【完】
クリスマスパーティーの翌日、無事に大掃除と終業式が終わり、私は待ちに待った冬休みに突入していた。
大晦日はおばあちゃんの家に行くので、今日はその前に自宅の大掃除をしている最中。

しかし断捨離しようとクローゼットのなかを整理してからというもの、私の処女作のメルヘン小説を見つけたり、小学生の時に愛用していたファンシー雑貨が発掘されたり、その度に懐かしい気持ちにさせられて、思うように作業が進んでいないのが実態だ。

いかんいかん、気を引き締めてやらないと。
今日はお母さんがパートで仕事に行っているから、その間になるだけ自分の部屋は片付けるって約束だったもんね。
紅茶でも飲んで一休みして、それから本気出そう。
そう思って階段を降りリビングに移動すると、お父さんがコーヒーを飲みながら何やら分厚い本をテーブルに乗せて眺めていた。


「どうだ?だいぶ片付いたか?」
「んー、ぼちぼちかな。昔書いてた小説とか見つけちゃって」
「ははは、愛生もか。お父さんも高校の卒業アルバムや文集が懐かしくて見入ってたから、実はあんまり進んでなくてな」
「あー、これ卒業アルバムなんだ」
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