結婚に愛はあるのか?
「あの、陽介、ちょっと待って。

私の気持ちが分かったからって、何も変わらない」


そうよ、私の気持ちが分かったからって、

それがずっと続いていくかなんてわからない。

陽介だって、永遠にその想いが続くなんて言い切れない。

だからこそ、こうやって陽介から離れてるのに。


「いや、全部が変わるよ。

だってそうだろ。オレは今まで、一度だって愛の口から、

オレへの気持ちを聞いた事がなかったんだ。

全く気持ちがないから、オレから離れていくんだと思ってた。

でも全然違った…オレを好きだと思ってくれるなら、

一緒にいたい。結婚して、その子を一緒に育てたい」


そう言った陽介は、私のお腹にそっと触れた。

陽介のぬくもりが伝わってくるようで、何も言葉が出てこない。


「愛ちゃんが困ってる。だから離れろ」

そんな私たちの間に、そんな言葉が投げかけられた。


振り返ると、そこには優也と沙織が立っていた。

「愛、気持ちが固まらないなら、ここで一緒に住んでみたら?」

「・・・え?」

突然の沙織の提案に、目を見開く。
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