結婚に愛はあるのか?
私たちの微妙な距離に、優也は一瞬眉をピクリとさせたが、

すぐにいつものような優しい表情に戻った。

「オレも手伝うよ」

「ありがとうございます」

テーブルに食事がすべて並んだ頃、バタンと勢いよく

部屋のドアが開いた。

沙織が慌てて出てきたのだ。


「お兄ちゃん」

「…なんだよそんなに慌てて」

沙織の慌て様に、眉をひそめる優也。


「そんなにのんびりしてる場合じゃないの!

お父さんが倒れたって!」


「?!!」

沙織の言葉に、その場にいた皆が驚いたように目を見開く。


「これから病院に行って、しばらくは実家に泊まることになると思う。

お母さんが心配だし、お父さんの看病や、仕事もあって、

しばらくはここに帰れないと思うから、陽介、愛の事頼んだわよ」


「え、あ、あぁ」
一気に喋った沙織は、優也にさっさと用意させて、その場を後にした。

・・・その場に取り残された私たちは、しばらくその場から動けなくて。
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