極上ショコラ【短】
会場内がざわついたのは、直後の事。


「お待ちしていたんですよ」


一挙手一投足ですら注目されているセリナさんの目の前にいるのは、原作者である篠原。


このツーショットが目立つのは、言うまでも無い。


篠原自身はあまり露出しないとは言え、顔合わせや打ち合わせには参加しているから、この中に彼の顔を知らない人はいないだろう。


「やぁ、篠原さん」


「監督」


頭を軽く下げた篠原は、これ以上無いくらいの笑顔を見せた。


それが繕われたものだという事には、すぐに気付いたけど…


あたしも笑みを浮かべ、監督に頭を下げた。


< 32 / 77 >

この作品をシェア

pagetop