極上ショコラ【短】
「あ、転職したんだよ、俺。それより、久しぶりだな」


どんな事情があるのかは知らないけど、元カレの転職先だなんて思ってもみなかったから、すぐに言葉が出て来ない。


「雛子?どうした?」


「別に……」


和也と別れた時の事を思い出し、彼の無神経さに苛立った。


「何だよ……。あの時の事、まだ怒ってるのか?」


すると、何を勘違いしたのか、和也はそんな見当違いな事を口にした。


「そんなんじゃないわよ。あたし、急いでるから」


「おい、待てよ」


一刻も早く和也から逃れたくて踵を返したけど、手首を掴まれてしまった。


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