祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
「キヨはさ、誰が…」



ケンが何かを言い掛けるとイノリが2人の元へ駆け寄ってきた。




「やっぱ俺も何か飲みてぇ。キヨ買って」

「もう!何なのよ、あんたは!!」



キヨが小銭を自販機に入れるとイノリはジンジャーエールのボタンを押した。





「そうだ、ケン。何か言い掛けなかった?どうしたの?」

「ううん!何でもない。早く戻ろう。腹減った」



キヨはケンを気にしながら、イノリと共に食堂に戻った。




昼食を食べ終え、午後の講義も済ませた5人はそれぞれサークルやバイトへと向かった。



「で、俺達はどこ行くんだよ」

「色々考えたんだけど、やっぱりカラオケかな」

「よし、じゃあ早速行くか」



イノリとキヨは並んで歩きながらカラオケを目指した。




夕方の街は学校帰りの高校生や大学生、会社帰りのサラリーマンで溢れている。




「っと、キヨ」



イノリはキヨに手を差し出した。


イノリは体が小さいキヨは人込みが苦手だとわかっているから、いつもキヨの手を繋いでくれる。



キヨはさり気ないイノリの優しさが大好きだった。
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