祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
「…っ!カゼ!!」
「………ん、どうした?」
「キヨを…宜しくな」
カゼは軽く頷くとイノリのアパートから出て行った。
イノリは1人になった部屋で、嫌なくらいの静けさを噛み締めていた。
「………ケン。俺が運転する」
「うぅっ…何でだよ〜俺の運転は安心出来ないってかぁ〜?」
「………うん。泣きながら運転するのは危ない」
カゼはケンを助手席に押しやると運転席に座りエンジンを掛ける。
ケンは窓の外からイノリのアパートを名残惜しそうに眺めていた。
「………イノリだけじゃない。俺らも考え直さないと。今のままじゃ幼なじみの存在に寄り掛かったままだ」
「俺は嫌だ。みんなといたいよ。
…どうしてだろうな、小さい頃はただ一緒にいるだけでよかった…それが全てだった。
それなのに、大きくなると愛とか誠実さとかよりも欲の方が強くなるのかな。…男と女という目で見るようになって、そこから絡まっていっちゃうのかな」
「………幼なじみだけではいられないんだね」
カゼとケンは、絡まり解れていく繋がりを確かに感じていた。
小さな頃は、みんなで一丸となって遊んでいるだけでよかった。
しかし大人になると
考え方も愛し方もみんな違ってきて、それぞれの道を歩き出していく。
幼なじみとか
馴れ合いとか
そんな繋がりよりも自分を優先するようになる。
人は誰かを自分の意思で留めておく事など出来ない。
だから離れていく心をどんなに必死に繋ぎ止めようとしても
それは絶対に無理なことである。
「イノリは本当にいいのかな。キヨに何も言わずに出て来ちゃったけど」
「………イノリなりの誠意なんじゃないかな。イノリは器用な人間じゃないからね」
「何をそんなに悔やんでるの?キヨのお姉さんの事?でも、お姉さんは結婚して今は幸せなんでしょ?イノリがあそこまで、自分を追い詰める必要なんてないじゃん」
ケンは外を見ながら呟く。
「………ん、どうした?」
「キヨを…宜しくな」
カゼは軽く頷くとイノリのアパートから出て行った。
イノリは1人になった部屋で、嫌なくらいの静けさを噛み締めていた。
「………ケン。俺が運転する」
「うぅっ…何でだよ〜俺の運転は安心出来ないってかぁ〜?」
「………うん。泣きながら運転するのは危ない」
カゼはケンを助手席に押しやると運転席に座りエンジンを掛ける。
ケンは窓の外からイノリのアパートを名残惜しそうに眺めていた。
「………イノリだけじゃない。俺らも考え直さないと。今のままじゃ幼なじみの存在に寄り掛かったままだ」
「俺は嫌だ。みんなといたいよ。
…どうしてだろうな、小さい頃はただ一緒にいるだけでよかった…それが全てだった。
それなのに、大きくなると愛とか誠実さとかよりも欲の方が強くなるのかな。…男と女という目で見るようになって、そこから絡まっていっちゃうのかな」
「………幼なじみだけではいられないんだね」
カゼとケンは、絡まり解れていく繋がりを確かに感じていた。
小さな頃は、みんなで一丸となって遊んでいるだけでよかった。
しかし大人になると
考え方も愛し方もみんな違ってきて、それぞれの道を歩き出していく。
幼なじみとか
馴れ合いとか
そんな繋がりよりも自分を優先するようになる。
人は誰かを自分の意思で留めておく事など出来ない。
だから離れていく心をどんなに必死に繋ぎ止めようとしても
それは絶対に無理なことである。
「イノリは本当にいいのかな。キヨに何も言わずに出て来ちゃったけど」
「………イノリなりの誠意なんじゃないかな。イノリは器用な人間じゃないからね」
「何をそんなに悔やんでるの?キヨのお姉さんの事?でも、お姉さんは結婚して今は幸せなんでしょ?イノリがあそこまで、自分を追い詰める必要なんてないじゃん」
ケンは外を見ながら呟く。