スイートホーム
「あいたっ…」


集積場の山に、新たなゴミ袋を積み上げようとした所で思わずそう叫んでしまった。


優さんの襲撃から一週間以上が経過し、幸いにも、首の赤みは消え、体の痛みもほとんど感じられなくなったのだけれど、その為にむしろ痛めた箇所への配慮をついつい忘れてしまう。


大きく動き過ぎたり無理な体勢を取ってしまったりして、その瞬間、体に鈍い痛みが走り、自分の健康状態がまだ万全ではない事を再認識するのだった。


寒くて筋肉が凝り固まっているから、余計に負担がかかっているんだろうけど。


完治するまでに一体どれくらいの月日を要するのやら。


私はため息を吐きつつ、そっと体を動かし、改めてゴミ袋を所定の場所に置いた。


ちなみに寮の入居者は24時間、いつでも好きな時に、建物裏にあるこのプレハブ建造の集積場にゴミを捨てて良い決まりになっている。


もちろん、分別は各自で行うのが大前提の話だけど。


そして管理人の田所さんが後でまとめて、収集を委託されている業者に引き渡してくれるのだ。


会社の寮から出るゴミは「事業系」とされ、処分する際有料となるので一般家庭の方達と同じステーションには捨てられない決まりらしくて。


でも、そのお陰でむしろ助かっている。


決められた曜日の、決められた時間までにゴミ出しをしなくちゃいけないっていうのは、日々の生活の中で結構な負担になってるんだよね。
< 220 / 290 >

この作品をシェア

pagetop