憎悪と、懺悔と、恋慕。
 


 ---------早川さんの家にあがらせてもらい、餃子を作りながら早川さんのお父さんを待つ事に。

 早川さんは、想像を遥かに超える不器用さで、餡をはみ出しながら作った餃子は、最早シュウマイに近かった。

 四苦八苦しながら一生懸命餃子を包む早川さんを見るのは、楽しくて面白すぎた。

 そのうち早川さんの弟さんが学校から帰ってきて、オレを見るなり、

 「目が悪いの?? それなら眼科で済むけど、美的感覚がイっちゃってるなら、脳の問題ですよ??」

 と、まるで可哀想な人を見るかの様な目をした。

 「視力は悪いけど、コンタクトしてるから」
 
 と弟さんに答えると、

 「今すぐ眼科に行った方が良いですよ。 全然度数合ってないですから。 ちゃんと姉の事見えてます?? フツーにブスですよ?? まぁ、性格は悪い子ではないんですけどね。 ただ、ブスですよ?? 姉でいいの??」

 と『ブス』を連呼された。

 ただ、弟に『性格は悪くない』と言われる早川さんは、やっぱりいい人なんだと思った。

 「自分だってカッコイイわけじゃないでしょうが!!」

 さすがにキレる早川さん。

 「すぐキレるし、ブスだし。 料理出来ないし、バカだし。 世の中には物好きなイケメンがいるもんだ。 晩ゴハン出来たら呼んでー」

 早川さんの悪口に言い返すと、弟さんは自分の部屋に入って行った。

 なんて気が利く弟さんなんだろう。
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