憎悪と、懺悔と、恋慕。
 

 餃子を、後は焼くだけの状態まで作り終えると、リビングで早川さんと色んな話をした。

 好きな食べ物、好きな音楽、好きな本。

 早川さんの事を、もっともっと知りたいと思った。

 オレの事も、全部知って欲しいと思った。

 早川さんと楽しい時間を過ごしていると、玄関のドアが開く音が聞こえた。

 早川さんのお父さんが帰って来た。

 「見慣れない靴があったけど、お客様でも来てるのか??」

 オレの靴を目にしただろう、早川さんのお父さんがリビングに顔を出した。

 早川さんのお父さんと目が合い、会釈をする。

 「おかえり、お父さん。 あの・・・こちらは・・・」

 オレを紹介しようとするも、やはりオレの名前を言い辛いのか、どもってしまう早川さん。

 「初めまして。 早川さんと同じ高校の木崎湊と言います」

 なので、自ら名乗り挨拶をすると、早川さんのお父さんが少し顔を顰め『・・・木崎』と小声で呟いた。

 オレの苗字で、勘付いた様子の早川さんのお父さん。
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