憎悪と、懺悔と、恋慕。
 

 「しかし姉ちゃんさぁ、こんな『イケメンでお金持ちで賢い男』捕まえちゃってさぁ。 人生の運を16にして全部使っちゃったんじゃないの??」

 莉玖くんが笑いながら、またしても早川さんに意地悪を言う。

 「ヤバイなー、莉子。 人生80年だぞ。 あと64年、生き地獄じゃねえか」

 ビールでほろ酔いになった早川さんのお父さんが、莉玖くんの話題に乗っかった。

 『どうしよう、どうしよう』と見事に真に受け頭を抱える早川さん。

 そして、

 「木崎センパイ、20㎏くらい太ってちょっと不細工になってくれませんか?!」

 割と真剣な顔で早川さんがオレの方を見た。

 「・・・は??」

 「だってワタシ、まだ16なんですよ!? こんなところで人生の運を全部使ってられないんですよ!! 残りの人生が生き地獄だったらどうしてくれるんですか!??」

 莉玖くんとお父さんの話を真に受けて、薄ら涙目の早川さん。

 てか、どんなキレ方だよ。
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