憎悪と、懺悔と、恋慕。
 
 「別にオレ、イケメンじゃないし」

 早川さんに白けた視線を送ると、

 「・・・・・・。」

 早川家の3人が一瞬黙り、

 「嫌味だなー、今のはさすがにカンジ悪いわ、木崎さん」

 「木崎くんがイケメンじゃなかったら、オレらはどうなるんだ。 もう、虫けらだな」

 「取り合えず、謝ってくださいよ。 木崎センパイ」

 3人に一斉に責められた。 『謝れ』って何でだよ。

 「・・・スイマセン」

 腑に落ちないまま、早川さんに言われた通り謝ったのに、

 「なんか謝られたら謝られたでヤなカンジー。 『イケメンでゴメンナサイ』って言われてるカンジー」

 莉玖くんに拗ねられた。 ・・・じゃあ、どうすれば良かったんだよ。

 「なんか、こちらこそ不細工でスイマセンってカンジだなー」

 『ガハハ』と笑いながらビールを飲む、早川さんのお父さんに、

 「ワタシも『美人すぎてゴメンナサーイ』とか言ってみたーい」

 と、早川さんも自虐的に笑った。

 ・・・もう、この家族、面倒くせぇな。

 でも、

 「・・・オレ、20㎏も太らねぇから」

 早川さんだけにしか聞こえない声で言う。

 「え??」

 早川さんが、『何??』と耳を寄せてきた。

 「早川さんが行き地獄を彷徨ってたら、ちゃんと助けてあげるから、オレは不細工にはならない」

 オレの言葉に、早川さんが目を大きく開いて顔を赤くした。

 そして『絶対ですよ』と笑った。

 うん。 絶対。

 約束するよ。

 なんなら、早川家ごと助け出す。 

 だってオレ、この家族が大好きだ。
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