憎悪と、懺悔と、恋慕。
 
 「・・・付き合ってるんだから『早川さん』っておかしいっしょ。 それに、島田さんはお喋りじゃないよ。 むしろ話してくれて良かった。 オレが知らなきゃいけない話だったから。 なのに莉子、話してくれないから。 あ、莉子もオレの事名前で呼んで。 敬語ももういらない」

 「・・・じょ・・・除々に変えます。 いきなりは無理ですよ。 恥ずかしいもん。 ・・・写真撮りましょう!!」

 恥ずかしがった莉子が、無理矢理話を変える様に携帯をかまえた。

 顔を寄せると、大照れに顔を赤くさせる莉子。

 そんな真っ赤な顔で写る気なのか、コイツは。

 写真を撮って2人で携帯を覗く。

 「・・・撮り直しましょう」

 莉子は、赤面で写っている自分が許せないらしい。

 が、撮り直したところで、どうせコイツは赤くなる。

 「やだ。 それ、オレにも送っといてね」

 面倒臭いし、茹蛸みたいな顔をしている莉子は凄く面白くて、物凄く可愛かったから。
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