ヤマアラシと白ウサギ
「君、お母さんは?」

子ウサギは鼻をひくひく。

なんだ、落ち着かない奴だな。

辺りを見回す。

が、家族らしいウサギは見当たらない。

「おいおい、こんなチビスケが迷子かよ?」

僕は子ウサギが出てきた草むらに鼻先をツッコンだ。

「――――!」

静かに後退りして、僕は子ウサギを振り返った。

草むらの向こうでは、赤ギツネの子供たちが、息絶えた母ウサギに喰らいついている所だった。

僕は子ウサギを森の片隅へと連れて行った。


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