ヤマアラシと白ウサギ
なんて無防備な生き物なんだ。

僕は諦めのため息をひとつついた。

「ほら、こっちのが旨いんだぞ。」

草を寄せてやるとと嬉しそうに鼻をツッコンだ。

ふわふわの産毛がそよ風に揺れる。

触れてもいないのに、なぜか僕までふわふわに包まれたような気分になった。

夏が訪れたばかりの、木漏れ日揺れる森の片隅で。

僕たちの奇妙な共存生活が始まった。

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