先輩と後輩の私。

先輩達には、サプライズということで、内緒にしておきたかったから、
高校の1、2年生にも、内緒にしておいてくださいとお願いした。

よし、22枚ある、あとは、かざりつけだなぁ、
的と矢の折り紙と…名前と…

いろいろしているうちに、会場についた。
私が責任者なので、プレゼント用のお菓子と一緒にバックの中にしまった。
なんか、イビツな形になったけど、バレんよね…。



いよいよ、先輩達の最後の試合が始まった。
今日は2日目で男子の予選と、決勝。昨日は女子の予選だった。
女子のAチームの先輩達はトップで決勝戦に出場。それを聞いたとき、嬉しくて涙が出た。



まだ、県の規模だけど、どこの高校も強かった。
そして、いよいよ、草先輩たちの番がやってきた。
鉢巻を締めた先輩の澄んだ眼差しからは、強い意志と、凛とした空気が伝わってきた。

そのときの先輩は、ほんとうに、ほんとうに、綺麗だった。
先輩が的を射止めた瞬間、皆からの「よし」という声援と拍手が聞こえた。
でも、私はただ、先輩だけを見続けていた。


結果、男子のAチームBチームともに予選敗退。、女子のAチームも、あと一歩とどかず、準々決勝で敗退した。


帰り際、先輩に色紙を渡した。
草先輩は中学生全員と握手をしてくれた。
でも、私はこれが最後だと思うと、悲しくて、嫌で、ただ泣いていた。まわりのみんなも、沙弥も、祥子も、みんなみんな、泣いていた。

「さくら、泣かないで」

「っ、うっ、うぅっ」

「泣かれるとどーしていいか分かんないじゃん」

先輩は困ったように笑う。

「っ、先輩っ、っく、さ先輩…っ」

「なに、さくら」

「…っきです。…きなんです。ずっと、前から」

「さくら?何て言ってるのか聞こえないんだけど」




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