ツンデレくんを呼んでみた。
自制難
あたし達は他のカップルと比べて進展が遅い。それは自覚している。


「……中出、腹減った」


午後の少し日が傾きかけた頃、あたしは中出の肩に力なく頭を乗せた。そんなあたしを、中出は容赦なく引き剥がす。


「何か食え」

「ご飯行こうって誘ってるんだけど」

「嫌や。俺は寝る」

「えー、あんたは腹減ってないの? 大食いのくせに」

「来る前に食った」

「腹立つー。あたし今日朝ご飯も食べてないのに」

「家にあるもんでも腹に入れとけ」

「……米食べるかな」


あたしはのろのろと立ち上がって台所に行った。炊飯器を覗くと白米が残っていた。


冷やご飯を茶碗に盛って電子レンジで温めた。ついでにお湯も沸かす。


「中出ー、何か飲むー?」


部屋にいる中出に向けて声を上げると、「カフェオレ」と、遠くにいたらやっとこさ聞こえるような声がしたから適当に返しておいた。一年も一緒にいると、こんな声も慣れてしまう。


冷蔵庫からインタントのコーヒーを取り出して二つのコップに適量を入れる。お湯を少し入れて、温めた牛乳と砂糖を注ぐ。片方のコップには砂糖を多めに入れた。


「あい、できたよー」


部屋に戻って砂糖が多い方を中出に差し出した。「ん」と頷いて、中出はスマホをいじる手を一瞬止めてカフェオレを一瞥した。


あたしはその隣に座ってご飯を食べ始めた。カフェオレを合わせるのは失敗だったけどまあいいや。


中出はカフェオレを啜りながらスマホをいじっていた。これはいつものことだから今更気にならない。


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