私が恋したのは女の子でした。
「ああ、うん。良いよ。ごめんね」

 イケメン……! 

 私の方を向いたその人は、思った以上にイケメンでドキドキしてしまった。

 遠くから見たことはある。何度も。

 いつも窓際に座っている人で、いつも一人でいるから、気にはなっていた。

 ふわっとした茶色の髪が縁取る顔は黄金比くらいで整ってる。

 何より優しそうな眼差しが彼をイケメンたらしめていた。

「失礼します……」

 荷物をどけてもらった席に座る私は、確実に恋に落ちていた。

 一目惚れなんて、安直かもしれない。

 だけど、そんな思いもふっとばすくらい、彼は素敵な人だった。

 私は内心ドキドキしながら、途中からの講義を聴いていた。

 そして、90分の講義が終わって、教授が後片付けをして去っていく。

 私も広げていたノートやら筆記用具やらを片付けようとすると、隣のイケメンに声をかけられた。
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