私が恋したのは女の子でした。

「うん……。かえでくんは？」

「元気だったよ。ほとんどバイトしてたけどね」

　他愛のない近況確認。

　ああ、そうか……。

　わざわざマイナスのことを言うためなんかに、朝から会いに来るわけなんてなかったんだ……。

　気を許しかけた私に、かえでくんは現実を突き付ける。

「なんで連絡くれなかったの？　やっぱり僕とは合わないとか思ってたわけ？」

　かえでくんはずるい。

　油断させておいて突き落とすなんて……。

　私の気持ちをもてあそんでいるんじゃないの？　

「かえでくんからだって連絡なかったじゃない。私ばっかり責めるつもり？」

　そうだよ。

　お互い様なのに、私が悪いみたいに言われるのは納得いかない。