甘い心はあなた一色




「よし、これで大丈夫」



「え?大丈夫?」



明るい声とともに体が離れた。



「ん。充電したから」



「充電……」



「ほら、紗英子さんも帰らないと」



「う、うん」



だよね、だよね。また明日会えるもん。



「紗英子さん」



「うん?」



「また明日」



あたしに大きく手を振る織くんに、笑みがこぼれた。



「また明日っ」



ルンルン気分でホームまで足を進める。



あたしが明日に胸を膨らませるのは織くんがいるからだって、織くんわかってる――?



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