甘い心はあなた一色
「お前ら紗英子に何してんだよ」
彼方の視線が、あたしから女の子達に移った。
え、お、女の子達がおびえてる!
「彼方、あたし何もされてな……」
「お前ら、こんなことしてどういうつもり?」
いつもと違う低い声に、女の子だけじゃなくてあたしまでビクリと体を震わせた。
「それ、返せよ」
「あ、ご、ごめんなさい」
彼方の手を経由して、鞄があたしのもとに戻ってきた。
ふーよかった。
彼方がくれたマスコット、無事だ。