籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~


「ここに入るの?」


「当然だ」


カイルに無理矢理穴の中に押し込まれ、ティアナは悲鳴を上げる。


「静かにしろ。見つかったらどうする」


「無理よ! だって中、真っ暗だわ!」


「その中を伝って探せ。心配するな、ネズミたちが作った素晴らしき道だよ」


そう言って、ティアナが出てこられないように足で穴をふさいでしまった。


「なんてやつなの」


逃げ場がなくなったティアナは最後にカイルの足を一蹴りし、暗い穴の中で泣きそうになりながらも手探りで壁を伝い、前へ進んでいった。


全く光が入らない壁の中、右も左も、前さえわからない道を進むのは怖くてたまらなかった。

永遠に出口なんてないような、そんな気さえしてくる。


(できるの? わたしに……ちゃんとパフィを見つけることが)


パフィを助けに行くために森の小屋を発つ際、リュイに言われた言葉があった。


『今のあなたでは国をもとに戻すことはできないだろう。あなたが自分のすべてを認め、受け止めたとき、あなたの力は戻る』


その言葉を思い出し、ティアナは唇を噛んだ。


自分に力がないのはわかりきっている。

だからこうしてカイルやアベル、ディオンに手伝ってもらいながらここまで来た。


そして今、ティアナはティアナにしかできないことをやっている。


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