籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~



『あなたも魔法が使えるようになります』



「……」


あの男が言ったことは本当なのだろうか。

こんな小さな指輪ひとつで、基準外の自分でも魔法が使えるようになるのだろうか。



(わたしも――ラナみたいに)



指輪を見つめてそう思った瞬間、指輪が眩い光を放った。


「きゃあ!?」


「ティアナ様……!」


光はあたり一帯を飲み込み、世界が真っ白に染まったかのようだった。

しかしそれは一瞬のことで、光はすぐに静まった。


「もう、一体何よ」


慣れない目をこすりつつ文句を言うと、期待したラナの返事がない。

不思議に思いながら、まだ眩んで調子が戻らない目をラナのいた方に向けると、ラナの人影のようなものが見える。

この場からいなくなったわけではないようだ。


(どうしたのかしら。突然光が出現したから、驚いて声が出ないの?)


「ラナ……」


手を伸ばして、彼女に触れた。


「え?」


触れた瞬間、ティアナは驚いて手を引っ込め、後ずさった。

ラナの体に触れたはずなのに、指先に触れたものはとても硬くて、冷たかった。


(ラナじゃない、の?)


だんだんと視界が戻ってきた。

初めはぼんやりと、それから徐々に視界がクリアになって――



目の前に広がる世界に、呼吸を忘れた。



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