kuro
エピローグ


真っ白だった私の世界。


きっともう色は戻らないと思ってた。


「光。
コレ、どこ....?」



「それは寝室!」


「え、このクマさん?
何で。」


「抱き枕。」



「!
ダメ!」


くろを見つけるまでは。

目の端に彼を見つけた瞬間
私の人生は方向を180度変えた。



「どうして。」



「だって....光には僕が居るのに。」




「え....」


「え.....」


「っとにかく、ダメ!こいつ玄関なの!」


本当に玄関においたかと思うと

甘い香りが私を覆う。

幸せが身体中を駆け巡るのがわかる。


こんな瞬間、
訪れるはずないと本当に
思っていた。



けれど、あの盛大な告白大会から
2ヶ月経った今日。
私はくろのアトリエに
棲むことになっていた。


物凄い手際の良さで、
くろが私の住んでいたアパートの大家に
話をつけ、お礼金なるものをすっと渡したのも最早遠い昔のように感じる。


早々荷物を片付けニコニコ
ココアを注ぐ くろは
初めてここに来た日と変わらない。


だけど。



その時よりずっと
愛しい。



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