ma cherie *マシェリ*
って、何やってんのオレ?

動揺しまくりだろっ。

でも……なんで?

なんでよりによって、いきなりサキに会わなきゃならないんだ。

神様ってヤツをほんと恨みたくなる。

バクバク激しく動く心臓の音が耳に届いてきそうだ。


「いやいや……」


オレは頭を振りながらブツブツ呟く。


「落ち着けオレ。別に悪いことしてるわけじゃねぇだろ? 堂々としてりゃいいんだ。堂々と……」


そう思って、再度ドアノブを回そうとしたその瞬間。


「あ! いたいた! マッヒロ君♪」


振り返らなくてもわかる。

特徴のあるちょっと色っぽい低めのハスキーな声。

聞き覚えのあるその声に、オレの背筋は凍りついた。




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