ma cherie *マシェリ*
「アホ」


「はぁ?」


サキは真っ赤な顔で耳を押さえる。


「ひどい! も、いいですよ!」


ぷぅっとふくれっ面で睨む彼女が可愛くて、オレは肩を震わせて笑った。

やっぱこいつ、いじめるのって楽しい。やめらんねぇ。


「うっそ。めっちゃ好き」


彼女の上唇をペロっと舐めた。

ああ……オレも酔っ払ってんのかな。

うん、きっと酔ってる。



「なっ……」


今度は唇を押さえながら、さらに顔を真っ赤に染める。



「おいそこー! いちゃつくなー!」


望月の突っ込みにサキ以外のみんなが笑ってた。


もっと酔ってしまいたくて、オレはウォッカをショットグラスに注いだ。

グラスを口につけながらチラリと彼女の顔を見る。

まだ一滴も飲んでないくせに、誰よりも顔を真っ赤に染めている姿が可愛かった。
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