アナタガスキ

「ありがとう……って、わはははっ!」

包みを開けようとして彼は大笑いした。

わざと中身がわかるよう薄い白の包装紙で包んだのは、いつも私に『買ってきて』って
言う銘柄のタバコ1カートン。

「さっすが、りかちゃん!わかってる」

笑いながら彼は私を引き寄せた。

わかってないよ、
本当は身体に悪いから止めて欲しいのに。

だけど他に思い浮かばなかったから。

食べてもらえないものなんて、
あげたくなかった。

誰かに食べられてしまったり、
忘れられて置き去りにされるくらいなら、
煙になって消えてしまった方がいい。

そういう行事だと言われたって、甘いチョコになんて自分の気持ちを重ねたりしない。

「早死にする手伝いしてあげるの」

そこまで言っておきながら、泣きそうになってうつむいた。

なんて可愛くない女だろう……


彼の長い指が顔を隠した私の髪をさらっと耳にかけた。

「少しずつ減らしてるだろ?」

「そうなの?」

見上げると、思っていたのとは違う真剣な眼差しにぶつかった。

「まったく……なんもわかってないな」

怒ったように言って、彼は想いを閉じ込めるように私の唇を塞いだ。

「んっ……」

唇を通して言葉では伝えきれない、
切なくて泣き出したくなるような感情が溢れてくる。


ネェ、ドコマデスキニナッテイイノ?

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