ポケットにキミの手を
「……菫と一緒になりたいんだ。彼女の傍にいたい。反対されたとしても俺は引かないし、今日は報告したかっただけだ」
彼はそう言い切り、席を立とうとする。
「司、座りなさい。行儀の悪い。反対はしてない。母さんもそれでいいな」
「……分かりました」
威厳のある声でお父様にまとめられ、お母様も渋々といった風に頷いた。私はちょっと居心地が悪くなって身をひそめる。司さんは、お父様をじっと見ると、改めて席についた。
「司をよろしくな、菫さん」
「こちらこそ」
お父様がにこりと笑う。味方になってくれたんだと思うと、肩から力が抜けてきた。
「よろしくお願いします」
頭を下げるとき、司さんからの眼差しを感じた。
「……なにか困ったことがあったら言ってきなさいよ」
ポソリ、と告げるお母様はやはりちょっと刈谷先輩に似ている。
私は勝手に緩んでいく口元を抑えるのに精一杯だった。