天使の贈り物
「はい、どうぞ」
準備をしながら、
声をかけると、姿を見せたのは
美空とアリサだった。
「あっ、美空さんとアリサさん。
俺たちの方から、
挨拶に行こうと思ってたんだけど」
そう言いながら、晴貴が対応する。
「私たちこそ、ちょっとお願いしたことがあって
待っていられなかったの。
もし良かったら、今日のステージで
お互いの曲を一緒に歌えたら素敵かなって思って」
そう言うと美空は、手にしていたファィルから
紙を取り出すと俺たちの前へと差し出した。
最初に出て来たのは五線譜。
「あっ、五線は俺はOKだけど奏介と翔琉たちは無理だな。
ベースとギターのTAB譜は?」
「後ろに」
「あっ、ホントだ」
そう言いながら晴貴は、
楽譜を次々とめくって、
それぞれのパート譜をそれぞれのパートの奴らに手渡した。
「昨日、アレンジしてみたんです。
一緒に演奏してみたくて。
前座して貰ったあの日、
本当は乗り気じゃなかったんです。
路線も系統も違うサウンドだから。
似合わないと思って。
だけどマスターにデモを聴かせて貰って
イメージが変わりました。
何時かは一緒に出来たらいいなって。
だからかな、このチャンスを無駄にはしたくなくて。
突然のことで、びっくりしたかも知れないけど
良かったら」
そう言って続けた美空の言葉に、
晴貴は、俺たちをぐるりと見渡して首を縦に振った。
「あぁ、俺たちは構わない。
間に合うように仕上げるよ。
少し、マスターに楽器を借りてくる」
そう言うと、俺たちは
それぞれに新しい楽譜を見つめながら
黙々と練習していった。
あの日、初めて聞いた
美空たちのメロディーの後、
転調して重なるように始まるのは
Dreamsのサビのメロディー。
そのサビの後から、
俺たちのメインサウンドへと戻っていく。
俺たち以上に、しっとりとバラード構成に仕上げられた
Dreamsの楽譜を見て、晴貴は頭をかく。