天使の贈り物 

5.友達の壁




久しぶりの
Liveハウスでの共演。


あの日から、俺たちと美空たちの関係は
少しずつ変化をとげていった。


同じ日にスタジオを借りて、
お互いのレコーディングの手伝いを始めた。

その頃から、美空の後輩である成実が
ちょくちょく姿を見せるようになる。




「なぁ、奏介。
 アイツ可愛いよなー」



耳打ちするように話しかけてくる煌太。




初めて見た成実の印象は、
明るくて快活な女の子。


チャキチャキした、
そんな勢いのある女の子だったけど
俺には、すでに気になって美空がいたから
煌太の言葉も半ば上の空だった。



そんな煌太が晴貴に惨敗したのは
それから一か月後。



晴貴と一緒に姿を見せた成実は、
彼女になったその時から、
俺たちのバンドのサポートを
手伝ってくれるようになった。




短い時間の中で、
ドンドンと目に見えて進展していく晴貴の恋。


成実の心が、晴貴にあるのを知りながらも
成実を諦めきれない煌太。


バンド活動と医大の勉強。
二束の草鞋に、
日々時間を惜しんで取り組む翔琉。


バンドはバンド。
プライベートはプライベートっと
きっちりと自分の時間を守りながら
共に夢を追い続ける悠生。




それぞれがその時間を
必死に歩き続けた。



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