天使の贈り物 



やっぱり……。



やっぱり、そーすけさんも
あの町と何かあるのかな?






同じ匂いがした
昨日は、強くなっていく。




「……私も一緒です。

 峠の向こう側、
 何時かは戻りたいんです。

 でも今は……心が戻れないんです」




そう……。


あの場所は悲しい思い出が
全てを真っ黒にしてしまったから。





そのままお互い、無言に
珈琲とレスカを飲みながら
時間だけがゆったりと過ぎていく。



それでも……
孤独さや寂しさは感じなかった。




心が少し、寄り添って行けた
そんな気がしたから。





このまま……
ゆっくりと……
そーすけさんと歩いていけたら
私は、新しい一歩を踏み出せる気がする。



一人で踏み出すことは出来なくても、
一緒に踏み出してくれる人がいたら
出来ると思うから。






私か貴方の心に惹かれて
寄り添っていくように、
貴方の心も私に寄り添ってくれたら……。




同じ時を感じながら、
そう願わずにはいられない。




……そーすけさん……

貴方に、
ゆっくりと寄り添っていいですか?
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