天使の贈り物 

9.命の記念日




そーすけさんと私。


あの……同じベッドで
すっぽりと包まれて眠ったあの日から
またいつものような時間が過ぎてる。


やっぱり自分を語ることが苦手なのか、
自分のことを話してくれることは
少ないけど……
でもブレギエーラで話してくれるって
言ってくれた。



その言葉だけが、
今の私を支えて……
そーすけさんの隣に居させてくれる。


体の関係は……
あの日を境になくなった。




お互いの寂しさを埋めるように
重ねる時間は終わりを告げて……。




そうなるとそうなるで、
人間って不安になる。




見えない形を信じるのって
難しいよ。





今も……私はバイト先の二階で
お世話になってる。




そうやって生活できるのも、
そーすけさんが、あの日一緒に
バイト先の店長夫婦にあってくれたから。




私が居づらくないように……
私の責任を肩代わりしてくれた。

肩代わりして
貰うつもりなんてなかったのに……。




今は……まだ一緒には慣れないけど、
いつか一緒に生活するつもりです……
みたいなことも、店長夫婦には話したらしく、
バイト先の奥さんは……
すでにそーすけさんのことがお気に入りっぽいし。



とうの私は、
そんな話一言も聞いてないんだけどね。



でもやっぱり……
そうやって言ってくれてるのは
私も嬉しいから。



今は……そーすけさんを
信じていたいって思ったんだ。




そんなある日……、
大学の講義の最中に、
携帯のバイブが着信を告げる。

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