天使の贈り物 

12.大切な想い





煌太さんの車で、
病院に辿りついた私は、
そーすけさんの眠る病室へと
慌ただしい走り方で駆け込む。


そーすけさんのお友達が、
心配そうに覗き込む中、
私も飛び込んだ。



「そーすけさんは?」



肩で息をしながら、
ベッドに近づいていく。



暫く会わなかっただけなのに、
血の気がない顔色が
彼を遠くへ連れて行ってしまいそうで
悲しくなった。



そのままその場所に座り込んで、
ベッドの中から、微かに覗く
指に自分の指先を絡める。




「彩巴ちゃん、奏介
 今は薬で眠ってるだけだから?
 安心していいよ。

 ストレスかな……。

 吐血して倒れてたんだよ。
 
 こんな状態で、酒飲んでた
 コイツも悪いけどね。

 今日は、薬いれたまま
 休ませるから」



白衣姿の翔琉さんは、
そう言って、
病室から出て行った。



眠り続ける、
そーすけさんの傍で
じっと……手を取って
座り続けた面会時間。


やがて、それもタイムオーバーで
病室を出る時間が近づく。




悠生さんに促されるように
病室を後にして、向かったのは
煌太さんの車。


そこには……久しぶりに見た
成実と、煌貴くんが座ってた。



「ごめんね。
 病室に居なくて。
 
 煌貴が泣き出したから、
 外に出てた。

 奏介、眠らせてあげたいしさ」


そう言いながら、
後部座席の半分に私に座るように促す。


悠生さんは助手席、
煌太さんは運転席。



病院の駐車場から動き出した車は、
いつものように、
悠生さんのお店へと辿りついた。
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