天使の贈り物 

2.寄り添う心




翌日……
化粧を落とすのを
忘れて果ててしまった私は
カピカピになった
肌に絶望を感じながら
目が覚める。




朝になったら
いつもこうやって後悔するのに
今日もやっちゃった。


ため息と共に、
体を起こして、洗面所へと向かう。



メイク落としで、綺麗に
マッサージしてクレンジング。

その後、ゆっくりと乾いた肌の中に
たっぷり化粧水を染み込ませていく。


念入りに化粧水を染み込ませて、
指先に肌が吸い付いてくる
感触を感じてから、
今日のメイクに取り掛かる。



ブルーベースのメイクを施して、
成実といつも待ち合わせてしている
駅へと向かう。




「おはよう。成実」



元気に声をかけると、
成実は案の定、二日酔いになったのか
そのまま頭を抱えて、座り込む。


「あぁ。どうしたのよ。
 ちょっと待ってて、ポカリ買ってくるよ。
 昔、兄さんが言ってたから」


二日酔いにはポカリ。

兄さんの口癖を思い出して、
自販機へと駆け寄ると、冷たいペットボトルを
ガチャリと落とす。


「はいっ」

ポカリの冷たさをまずは肌で感じて、
そのまま動かなくなりそうな成実。

成実の手からもう一度、ポカリを奪い取ると
キャップをとって、もう一度手渡した。


「はいっ、成実飲む」


促されるままに、
両手でペットボトルを挟んだ成実は、
クピクピと飲み干し始めた。


時間をかけて、飲み終わった
成実は……アルコール濃度が少し薄まって
落ち着いたのか、苦笑いしながら向き直った。


「ごめん。彩巴」

「別にいいよ。
 気にしなくて」

「そう。
 彩巴と奏介が送ってくれたんだってね。

 朝……奏介からきいたよ。

 今朝も、アイツにここまで送って貰ったんだ」



何気ない素振りで、成実が紡ぐ
一言一言に
過剰反応してしまいそうな私がここに居る。




あの後……
そーすけさん、成実と一緒に過ごしたんだ。


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