天使の贈り物
「成実、そーすけさんの部屋で過ごしたの?」
成実に悟られまいと精一杯、
震えそうになる声を絞り出して
問いかける。
「あぁ、そーすけの家に居たよ」
耳を塞ぎたくなるような
言葉が襲い掛かる。
失恋?
早速、失恋なの?
私。
昨日、そーすけさんに逢って
気になり始めたのに……
そーすけさんには、成実がいるの?
『成実って、そーすけさんの彼女?』
そう問いかけたい言葉も、
うまく出てくれない。
彼女だってわかったら、
わかった途端に……
私のドキドキも終わっちゃう。
それに……
成実とどうやって
顔を合わせたらいいのかわかんないよ。
喉元まで出かけた言葉を
何度も飲み込みながら
成実の介抱をしていると、
鞄の中から携帯電話の着うたが流れた。
鞄の中に手を突っ込んで、
携帯電話を発掘すると、
背面モニターに表示されたのは、
メールを受信しましたの文字。
モニターを流れる文字を辿ると、
昨日、連絡先を好感した
噂の主からの初メールだった。
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桐生奏介
[sub] 昨日は有難う
昨日は
迷惑かけてごめん。
今日、予定ある?
昨日の埋め合わせ
出来るならしたいんだけど
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