天使の贈り物 

15.dream




そーすけさんと私が、
もう一度……繋がることが出来たあの日から
数日後、そーすけさんは
無事に潰瘍の治療を終えて退院した。


お祭り好きのメンバーたちは、
病み上がりの、そーすけさんを
悠生さんの店へと連れて行く。


そこには……
今から練習を始める、
メンバーたちが全員顔を揃える。



「んじゃ、奏介も来たし……
 彩巴、練習の成果見せつけてやんな」


なんて無謀な言葉と共に
私の背中を押しだす。


私の後ろには……
ドラムの前でスタンバイしてる煌太さん。

ギターを手にした翔琉さんに、
ベースを手にした悠生さん。


「煌太、じゃーやっちゃって」


煌貴くんを抱きながら、
やっぱりテキパキと指示を出していく成実。


煌太さんがスティックを打ち鳴らす音が響いて、
一斉に音の深みが増す。


重なる音の洪水を受けて、
ゆっくりと声を乗せていく。



やっぱり……
今も出し切れない部分は
あるけど……最初に比べれば
多少はマシになってるはず。



サビを歌い終って、
もう一度、リピート部分にさしかかった頃
立ち上がった、そーすけさんは
ゆっくりと自分の前に、ギターを構えた。


体に染みついたサウンドは、
耳で全てを感じ取れるのか、
感性のまま、弦を爪弾いていくそーすけさん。



そんな……そーすけさんに、
見惚れて歌詞が抜けていく。



流れるように弦の上、
忙しなく動き回る指先。



翔琉さんの音色に重なっていく
ギターのハーモニーは、
何処までも、
その翼で世界をかけていくように
広がっていく。



そんな音色が……ブツリと途切れた。



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