宿った命
今の今まで寝ていたはずの修平が起きていて、その目はラックを捉えていた。
ラックはそのまま動けず、ただただ修平を見つめるしかない。
〈おい、ラック!何してんだ!?大丈夫だからこっちに―〉
リーフが小声でそう叫ぶが、すぐに口を噤んだ。
ラックを見ていた修平が、今度はリーフを捉えたからだ。
〈な、なぁ。リーフ・・・。こいつ、僕らのこと“見てる”よ?〉
ラックが恐る恐る言うと、修平が眉間にしわをよせた。
「お前ら・・・誰だ?」
〈う・・・。なんか声も聞こえるみたい・・・〉
3人はそれぞれ動けないまま、修平の降りるバス停まで着いてしまった。
アナウンスの音で修平ははっと我に返り、寝ている紗季を見た。
「紗季。起きろ。着いたぞ」
「ん・・・。もう着いたの?」
まだ眠そうに目をこすりながら起きた紗季は降りる準備をした。
目の前で彼女を見つめる2つの視線には気付かないというように。
「修平?何してんの?降りるよ」
「あ、ああ。・・・あのさ、紗季」
「何?」
「お前さ、見えねぇの?」
修平がそう訊ねると、紗季が首を傾げた。
「どうしたの?寝ぼけてる?」
紗季は小さく笑って席を立った。
修平はその時、目にしてしまった。
とんでもないものを・・・。