仮面
ピーンポーン
予期せぬチャイム音に私は飛び上がった
その拍子に、机の上にあったコーヒーを仮面に零してしまう
『あっ…!』
慌ててふくが、なかなか茶色い染みがとれない
そして来訪者も中々私が出ないので何度もチャイムを押す
『は、はーい!
今いきまーす…!』
私は仕方なく、仮面を机の上に置いて玄関へと小走りにいく
『なにか?』
がちゃりと扉をあけて、見ると美しい青年が一人佇んでいた
彼は私を見るなり、美しい碧眼の目を丸くさせた
『あ、の?』
「あ…あぁ、すいません。
あまりに美しい人だったもので。」
そういって、彼は微かに照れたようにはにかんだ
「アヴーグルさんはいらっしゃいますか?」
『い…いいえ。
お仕事中ですわ。』