仮面





ピーンポーン


予期せぬチャイム音に私は飛び上がった

その拍子に、机の上にあったコーヒーを仮面に零してしまう


『あっ…!』


慌ててふくが、なかなか茶色い染みがとれない

そして来訪者も中々私が出ないので何度もチャイムを押す


『は、はーい!
今いきまーす…!』

私は仕方なく、仮面を机の上に置いて玄関へと小走りにいく


『なにか?』


がちゃりと扉をあけて、見ると美しい青年が一人佇んでいた

彼は私を見るなり、美しい碧眼の目を丸くさせた


『あ、の?』


「あ…あぁ、すいません。
あまりに美しい人だったもので。」


そういって、彼は微かに照れたようにはにかんだ

「アヴーグルさんはいらっしゃいますか?」

『い…いいえ。
お仕事中ですわ。』





< 5 / 10 >

この作品をシェア

pagetop