強引男子のイジワルで甘い独占欲
二分五四秒で涙を拭いて立ち上がった私を確認してから、眞木隼人も「じゃあ飯いくか」と言いながら立ち上がる。
155センチの私をすんなりと追い抜いた身長は男にしても結構高めだと思う。
170中盤から後半はありそうだ。
無意識に慎司よりも少し高いだろうかと比べようとして、やめる。
せっかく立ち上がったのに歩け出せなくなるのはごめんだ。
「モール内に人気のラーメン屋があるから。昼時過ぎたし少しは空いてるかもな」
すたすたと歩き始める眞木隼人に気づいて、慌ててその後ろについて歩く。
歩きながら通りかかったショップの中の時計を確認すると、13時40分を示していた。
「ねぇ、さっきから飯飯言ってるけど、私行かないから」
背中に向かって言うと、しかめっ面の眞木隼人が振り向く。
「は? 俺にあれだけ泣き止むの待たせておいて?」
「そんなの勝手に待ってたんじゃない」
「例え勝手に待ってたとしても、それに対してお礼か謝罪くらいするべきだろ。
おまえは結果的に言えば優しくしてもらったんだから」