強引男子のイジワルで甘い独占欲



例え、眞木と付き合い始めて恋愛に関しては順風満帆、と言っても過言ではない状況だとしても。
私はそれを全面に押し出して、私の自慢の彼氏の話を聞いてくださいよ~オーラを出したつもりもなければ、誰かに何かを声高々に自慢した覚えもない。

それでも恨みを買ってしまうのだから、本当に人間関係は難しい。

眞木の部屋に泊まった、五日後の水曜日。
仕事を終えて会社を出たところで、こちらを睨みつけてくるひとりの女性に気付いた。

うちの会社の社員ではないのに顔を知っていたのは、最近よく私を睨んでいた人だったから。
最近、というのはもちろん、眞木との噂が流れ始めてからを指す。

私の課とは直接取引はないけれど、よくうちの会社に出入りしている営業の人だ。
包装グループに毎週のように来ているから、デザイン関係の会社の人なんだろうと判断する。

そして、来る度についでに私を睨んでいくってわけだ。

つまり、そういう事なんだろうと思いながらもスルーできるならそうしたいと、会釈だけしてその人の前を通り過ぎようとして。
直後かけられた「佐野さんですよね」っていう言葉に、ああやっぱりダメかとこっそりため息を落とした。

振り向くと、相変わらずきつい眼差しと目が合った。




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