強引男子のイジワルで甘い独占欲


その様子を見ながら、人として好きだとかそういうのが眞木らしいなと思う。
そういえば仲良くなった最初の頃、小谷先輩に眞木との事を聞かれた時、眞木は性別とかどうでもいいんだと思いますよなんて答えたっけ。

眞木は、女としてだとかそういうモノよりも先に、まず人としての好意を持つ人なのかもしれない。
……友達が少ないからこそ。

恐らく、気難しい眞木は、友達としての好意を持つ相手も探すのは難しいんだろうとこっそり思う。
しかも、この強面に睨まれても言い返すくらいの度胸も兼ね備えた人じゃないとダメって事だろうし。
そうなってくると、睨まれてそそくさと職場に戻る社員はみんなして不合格って事かと、さっき眞木が蹴散らしてきたらしい社員に苦笑いが漏れた。

「でも、あの頃とは私も変わったし、今なら……っ」

そう食い下がる井川さんに、眞木が小さくため息をつく。

「変わったってどんな風に? そういえばさっき佐野みたいになったとか言ってたよな」
「物事ハッキリ言えるようにもなったし……今してる事は女々しいかもしれないけど、普段はそんな事ないし……っ」
「佐野は別に、女々しくないわけじゃない」

眞木の言葉に、井川さんだけじゃなく、私も眞木を見つめてしまった。
何言い出すんだと。


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