強引男子のイジワルで甘い独占欲


「待てって」

再び私の腕を掴んだ眞木が、今度はぐっとそこに力を入れるもんだから、仕方なく立ち止まる。
前を向いたまま、眞木の方を見ずに「なに」と返すと、掴んだ腕はそのままに顔を覗き込まれた。

視界に強引に入ってきたのは、「ふーん」と言いながら満足そうに笑う眞木の顔。
……最悪だ。やっぱり全部バレてる。

「……言っておくけど。別にやきもちとかじゃないから」
「へー。そうとしか思えないけどな」
「私が違うって言ってるんだから違うの」
「まぁ、そういう事にしておいてやってもいいけど」

そう笑う眞木は、もう完全に私がやきもちを焼いてるんだって確信しているみたいで。
なんだか弱味を見せてしまったようで気に入らないけど、もうバレてしまってるならと、もやもやしているもうひとつの原因を口にしてみる事にした。

「眞木は、まず人として好きになるんだよね」
「あ?」
「私の事も、女としてじゃなくて、人として好きなんじゃないの」

さっき、井川さんとしていた会話。
井川さんの事、人として好きだけど異性としては好きになれなかったって言っていた。
だから別れたって。

私の事だって、まだ女として好きなんじゃなくてただ人として好きなだけかもしれない。
そしてもしそうなら……やっぱり異性として好きになれなかったって理由で、いつか別れようって言われる時がくるのかもしれない。

そう思って眞木を見ると、しばらく無言で視線を返された後、ふっと笑われる。

< 201 / 226 >

この作品をシェア

pagetop